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会計でクリニックを強くする(11)2010:06:24:11:56:24
「減価償却」という言葉は聞いたことがあると思います。例えば、クリニックの建物や医療機器などの固定資産に関して、その取得原価を医業収益の獲得のために利用した期間にわたって費用配分することをいいます。例えば、木造の建物であれば17年間、レントゲン機器であれば6年間で、購入に要した金額を費用にしていきます。
減価償却費は、過去に支出した費用ですので、今年、お金が支出される(された)わけではありません。ですので、減価償却費を無いものとして、必要な利益が確保されていれば、今すぐに資金上の問題が生じるわけではありません。しかし、減価償却というルールの意義を考えると、減価償却費は医業収益獲得のために要した費用であるのですから、それを無いものにしないと必要な利益が確保できないといことでは、問題です。
実際、毎年、減価償却に相当するくらいの資金をプールできないと、将来のクリニックの建て替えや医療機器の入れ替えの際に、資金が不足しているという事態に陥りかねません。実際、減価償却費に相当する額を毎月積み立てている先生もいらっしゃいます。
適正な減価償却の額は、当然、クリニックが自社物件か賃借物件かによって変わりますし、所有している医療機器の購入時の価額によっても変わってきますので、一概にいいにくいところですが、地代家賃と併せて、医業収益の9.5%~10.0%くらいと言われています。自前の建物であれば、建物の減価償却費と医療機器の減価償却費を併せてこれくらいの割合になればいいし、テナントで入っている等、建物が自前でない場合は、その家賃と併せてこれくらいということになります。
減価償却費が医業収益の10%を大きく超えるようであれば、そのクリニックの収益力に対し設備投資が過大であると考えられます。
また、減価償却費は、費用を収益と対応させるということが目的ですので、月々、概算で計上することが望ましいと言えます。逆に言うと、減価償却費が月々計上されていない月次決算書は、医業経営を考える際、あまり参考にならないと考えられます。
会計でクリニックを強くする(10)2010:05:26:15:57:30
税理士の先生から、「ずいぶん利益が出ています、順調ですね。」と言われたことはありませんか?
そのとき「利益が出てると言っても手元には現金がないな~」と思われたことはありませんか?
これが、いわゆる"勘定合って銭足らず"ということです。
利益というのは、医業収益から必要経費を引いた残り、つまり儲けを指します。利益とお金の残り方が一致しない原因のひとつは、医業収益のすべてが窓口でもらえるものでなく、7割近くは2ヶ月後に入って来るものであること、必要経費の中には、例えば医薬品の仕入れのように支払いを2ヶ月後・3ヶ月後にするものがあることです。つまり、今月の収益として把握しているものと、実際に入ってくるお金には時間的なズレがある。必要経費も同じように、今月の経費と把握しているものと実際の支払額は時期が異なりからです。
さらに、もっと大きな利益とお金の残り方の不一致の原因は、資産の購入、借入金の返済、定期積金等、税金の支払いにあります。これらは、稼いだ利益の中から行います。要は、お金を稼いで資産を購入する、お金を稼いで借入金を返す、お金を稼いで貯金するということです。するとたくさんの利益があってもそれを上回る資産の購入や借入金の返済、貯金をすれば、手元にお金はなくなるわけです。勘定あって銭足らずです。
つまり、過大な資産投資や借入金返済の急ぎ過ぎは、手元の現金を減らすことになり、場合によっては支払いに支障をきたしますので、たとえ利益が出ていても注意が必要です。クリニックの利益を把握することは重要なことですが、まったく別な観点から、手元にあるお金の増減を管理することも大切なことです。この観点で経営していくことをキャッシュフロー経営といいます。
会計でクリニックを強くする(9)2010:05:07:17:04:53
今回も人件費について考えてみたいと思います。
医業収益から、変動費(医薬品費・検査委託費)を引いたものを、限界利益といいます。この限界利益でクリニックの経費を賄い、残ったものを経常利益といいます。したがって、この限界利益が、クリニックの利益の源と言えます。
この限界利益のうち何%を人件費にあてるか?その割合のことを労働分配率といいます。労働分配率は、個人・無床・院外処方のクリニックで、30.6%、個人・無床・院内処方のクリニックで、36.7%です。院内処方のクリニックが高くなるのは、薬の処方・管理のための人件費が掛かるためです。
法人・無床・院外で、66.1%、法人・無床・院内で68.3%となっています。個人開業のクリニックの労働分配率が、法人の労働分配率に比べ低いのは、個人開業のクリニックの人件費には、先生自身の分が含まれていないのに対し、法人の場合は、先生の分が理事報酬として人件費に含まれているからです。先生の報酬分を除いて計算し、個人開業のクリニックの労働分配率と比較した方が、わかりやすいかもしれません。
スタッフの人件費は、限界利益の3割くらいだということが、分かります。また、個人クリニックの労働分配率と法人の労働分配率を差が理事分ということになります。理事報酬は、限界利益の30%~35%ということが分かります。
個人開業のクリニックであれば、限界利益の30%以上が残っているべきです。
(数値は、TKC医業経営指標平成21年版)






