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「誤りやすい事例 年末調整の留意点」 Vol.463 2014年12月16日発行

年末調整の時期となりました。年末調整とは、給与の支払を受ける人の一人一人について、毎月(日)の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与総額について納めなければならない税額(年税額)とを比べて、その過不足額を精算する手続きです。

●昨年と比べて変わった点

平成26年分については、大きな改正点はありませんでしたが、昨年から創設された復興特別所得税の計算がありますのでその留意が必要です。
そのため、年末調整において年税額を計算する際にも、復興特別所得税を含めた年税額[年調年税額=年調所得税額×102.1%(100円未満切り捨て)]を算出する必要があります。
以下、誤りやすい事項について3例ほど検討したいと思います。

●遺族年金の受給と合計所得金額の判定

扶養親族に該当するかどうかを判定する場合の合計所得金額には、所得税法やその他の法令の規定によって非課税とされる所得は含まれないことになっています。
したがって、非課税所得である遺族年金を含めないところで扶養親族を判定することに注意して下さい。

●給与の支払日が年の中途で変更された場合

これまで前月21日から当月20日までの勤務分に係る給与が当月末支給から翌月5日に変更になった場合、11月21日から12月20日までの給与は翌年1月5日に支払われることになります。
この1月5日に支払われる12月分の給与は、本年の給与に係る年末調整の対象に含めなければならないかどうかですが、結論は計算対象には含めない、です。
その理由は、年末調整は、その年中に支払うべきことが確定した給与が対象で、確定した給与とは、契約又は慣習により支給日が定められている給与についてはその支給日、支給日が定められていない給与についてはその支給を受けた日、と解されていることにあります。

●親族等が契約者となっている保険契約等

妻や子が契約者となっている生命保険契約等であっても、その妻や子に所得がなく給与の支払を受ける夫がその保険料を負担している場合には、その保険料又は掛金は夫の生命保険料控除の対象になります。
但し、保険金等の受取人が給与の支払を受ける人又はその配偶者その他の親族でなければなりません。

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「印鑑の取り扱いにはご注意を!!今も昔も印鑑は重要な存在」 Vol.462 2014年12月9日発行

●実印と認印の違いは

法律上、実印という用語は存在しません。
個人における実印は、その個人の住民票のある市区町村において登録した印影が刻まれている印鑑のことを指し、法人における実印は、その法人の本店所在地を管轄する法務局において届け出られた印影が刻まれている印鑑のことを指します。

●押印する際は十分に気をつけましょう!

保証契約や定期賃貸借契約などの一部の契約を除き、各種契約の締結は口頭で行うことができます。しかし、世間一般的には、「契約書」という形で当該契約の証拠として「書面化」し、当該契約書には、署名または記名押印がなされます。
これらの署名または記名押印は契約に関する意思を表示したものであり、後日の紛争の際、契約当時、契約する意思があったことを証明する有力な証拠となります。

(1)民事訴訟法では、私文書の成立につき、本人(または代理人)の署名または押印があるものは、真意に基づいて成立したものと推定しております。

(2)最高裁判所の判例において、本人(または代理人)により署名または押印がされた事実があれば、その署名または押印自体が本人(または代理人)の意思に基づいてなされたものであると事実上推定されると判断されています。

上記の推定により、実印・認印の区別なく、その私文書は真正に成立したものとして推定されるため、これらを覆すのは、大変困難なケースが多いといわれています。ご注意ください。

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「資産の損失と似て非なる取壊し費用」 Vol.461 2014年12月2日発行

相続税の増税に備えた対策の一環として、金融緩和の継続と相まって、借入金による中古賃貸不動産の建替えも盛んのようです。
これら賃貸に供されている建物の建替えに伴う「取壊し等」により生じた損失、いわゆる資産損失については、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されます。 取壊し等には、除却、滅失等も含まれます。

●資産損失の金額の計算

必要経費に算入される資産損失の金額は、その資産の原価ベースによる価額、いわゆる簿価を基礎として計算することとされており、建物については、損失の生じた日にその資産の譲渡があったものとみなして、その固定資産の取得に要した金額及び設備費並びに改良費の額の合計額からその資産の償却費の額の累計額を控除した金額です。

●貸付規模と資産損失の必要経費

不動産所得の起因となる建物の取壊し等による資産損失が全額必要経費に算入されるかどうかは、取壊し時の不動産の貸付が事業的規模か、それ以外(業務的規模)か、どうかによって異なってきます。
事業的規模の場合には、その資産損失の全額を必要経費に算入することができ、不動産所得が赤字の場合は他の所得との損益通算、さらに、青色申告であれば純損失の繰越控除の適用があります。
一方、業務的規模の場合には、その年分の不動産所得(その資産損失を控除する前)の金額が限度になり、不動産所得が赤字であれば、その部分の金額は切り捨てられることになります。
なお、事業的規模かどうかは、(1)アパート等については、独立した室数10以上、(2)独立家屋の貸付については、おおむね5棟以上であれば、反証がない限り事業的規模とされ、また、事業税が課税されていれば事業的規模として取り扱われています。

●取壊し費用と必要経費

建物の取壊しには、当然、取壊しのための諸費用がかかります。この取壊し費用も取壊しによって生じる損失、除却損と同様、不動産の貸付規模によって必要経費に算入される金額の範囲が異なるかどうかです。
資産損失は、あくまで資産の取壊し、除却、滅失による資産そのものの損失、原則、未償却残高相当額であることから、取壊し費用はその範疇には入りません。したがって、不動産の貸付の規模にかかわらず、業務供用部分については、全額必要経費に算入されます。

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「離婚後の子をめぐるトラブル 養育費負担がある場合の扶養控除」 Vol.460 2014年11月21日発行

●生計一親族の判定(養育費の負担)

国税庁ホームページの質疑応答事例には、子がある夫妻が離婚した後の「扶養控除(所得税)」を、生活が別となった元夫・元妻のどちらに適用できるかという事例が紹介されています。元妻が子を引き取り、元夫が養育費を負担しているケースでは、その養育費の支払いが(1)扶養義務の履行として、(2)「成人に達するまで」など一定の年齢に限って行われるものであるときは、その養育費を負担した期間については、子は元夫の「生計を一にしているもの」として、元夫は扶養控除の対象とすることができます。
ただし、養育費と慰謝料・財産分与の金額が明らかに区分できない場合には、この例には当てはまりません。また、子が元夫の控除対象扶養親族に該当するとともに、元妻の控除対象扶養親族にも該当することになる場合には、扶養控除はいずれか一方のみに適用されることになります。

●「扶養控除」の取り合いになった事例

このようなケースでは、別れた元夫婦が子をどちらの控除対象扶養親族とするかという話し合いを持たずに、両者が各々の控除扶養親族として申告を行ってしまうこともあるようです。争いになった事例として、平成19年の国税不服審判所の裁決例があります。別れた元夫婦が各自の勤務先に扶養控除等申告書を提出し、長女を各々の控除扶養親族として平成18年分の年末調整を受けていたというものです。このケースでは元妻が扶養控除等申告書を職場に平成17年12月に提出し、元夫が平成18年1月に提出していることから、長女は、先に扶養控除等申告書を提出した元妻の控除対象扶養親族と判断されました。

●「決められない場合」の判定方法は2つ

所得税法施行令には、2以上の居住者が同一人を自己の扶養親族として申告書等に記載した場合の規定があります。

(1) 既に片方の居住者が申告書等の記載により扶養親族としている場合

→その居住者の扶養親族

(2) (1)によっても、いずれの扶養親族とするか定められない場合

→合計所得金額の大きい方の居住者の扶養親族

上記の裁決では、(1)の段階で判定ができたため、元夫の所得の方が大きいという事実は考慮されませんでした。

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「未登記と名義人課税」 Vol.459 2014年11月18日発行

●未登記建物への課税の根拠は

平成26年9月25日に、最高裁は未登記物件につき、「登記されている者として納税義務を負う」としました。
事案は、家屋の新築につき、平成22年10月に「平成21年12月7日新築」を原因とする登記をしたことを承けて、平成22年分の固定資産税・都市計画税がその登記後賦課決定されたことに対し、これを不服として、「平成22年1月1日現在、登記簿又は家屋課税台帳兼家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されてはいない」ことを理由に課税取消しを求めて訴訟に及んだというものです。

●地裁は遡及記載で要件充足と判断

原告は、市町村民税については、賦課期日である1月1日現在、住民基本台帳に登録されていなくても、住所を有する者を登録されている者とのみなし規定が置かれている(法294条3項)のに対し、固定資産税についてこのようなみなし規定が置かれていない以上、みなして課税することを可とする解釈はあり得ない、と主張しました。
しかし、地裁は、事後での台帳記載により1月1日現在の所有者と遡及記載すれば課税の要件は整うとの判断で棄却しました。

●高裁は遡及記載課税を排し逆転判決

遡及記載が不適法なのは、最高裁昭和30年3月23日判決が「1月1日現在において土地台帳若しくは土地補充課税台帳に所有者として登録されている者をいい」とし、最高裁昭和47年1月25日判決が「一定の時点に所有者として登記または登録されている者を所有者として課税する」としていることからも明らかである、として高裁は逆転判決を下しました。

●世間常識的な最高裁判決

固定資産税は、土地・家屋及び償却資産の資産価値に着目して課する一種の財産税なので、未登記を理由に課税逃れを許すのは公平観念にそぐわないことは確かです。
しかし、税は必ずしも公平と常に反りが合う関係にあるものではありません。遡及記載課税、過去判例との整合性、みなし適用可否など、はっきりしたもの言いをしてほしかったところ、最高裁判決はいろんな理屈を述べ立てて世間常識的な判断をすることに終始しているように見えます。
過去判例に十分向き合っていないし、名義人課税を制度本旨とするところと実質所有者課税との使い分けもご都合主義的です。

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