会計人としての「原点」と「未来」―
TKCにおける会計人としての原点であり不変の核となる考え方は、会計を「税務のための作業」ではなく、「経営のための仕組み」として捉えることにあります。
会計帳簿とは、金融機関や税務署、株主など、誰かに見せるためのものではありません。あくまでも経営者が自らの経営を知り、判断するための「自己報告・自己認識ツール」です。
350年以上前、フランスのルイ14世の時代に制定された世界最古の商法典では、商人の破産防止のために帳簿記帳が義務化されました。この歴史が示すように、健全な経営の本質が「数字を見て考える経営」という事実は今も昔も変わりません。
私は、この原理・原則こそが職業会計人の在り方を考える上での全ての出発点だと考えています。
AI技術が普及し、DX化が加速する現代においても、この本質は変わりません。
テクノロジーは私たちの仕事の合理化を進めますが、「現地・現物・現人」という3現主義に基づいた事実確認・対話・信頼関係の構築は、人にしか作り出せない価値です。
税理士の役割は、会計帳簿を処理することではなく、経営者の経営上の意思決定をサポートするインフラへと進化するべきだと信じています。
テクノロジーを活用した合理化により生み出された時間は、人と向き合い、経営者と向き合い、関係性を深めるために使うべきなのです。


税理士の4大業務の本質とは―
税理士の4大業務は、TKCの生みの親である飯塚毅博士のご見解に基づいて、整理・構築した概念です。この4大業務は、税の法律家であり、会計の専門家であり、保証の専門家であり、経営助言の専門家として、私たち税理士が果たすべき責務です。
そしてこの中心にあるのは、常に正確な会計帳簿です。税務はコンプライアンス経営を支え、会計は経営判断力を育て、保証は社会的信用を担保します。そして経営助言は経営者が自ら判断できる状態をつくる支援です。つまり、私たちの仕事は、会計帳簿を軸とした一つの経営支援の構造に基づいているのです。
会員の皆様へ伝えたいこと―
TKC全国会は単なる組織ではなく、ここまで述べてきた理想のあるべき姿を実現するための運動体です。中小企業の永続的繁栄に奉仕し、日本経済の基盤を支える使命を担う職業会計人集団です。
―迎合するのではなく、正しさを貫くこと。
―楽な道ではなく、正しい道を選ぶこと。
―経営者に寄り添い、励まし、時には警鐘を鳴らしながら支える存在であること。
それが私の信念であり、TKC会計人に託したい「未来の姿」です。