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メディア掲載

メディア掲載 戦略経営者2025年5月号

株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2025年5月号に当事務所のお客様である、株式会社長坂養蜂場様がご紹介されました。

株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2025年5月号に当事務所のお客様である、株式会社長坂養蜂場様がご紹介されました。


長坂養蜂場 養蜂業、蜂蜜製品の製造・販売

多彩な商品構成と働きがいの向上で地域をけん引する優良企業に

ミカンの産地として名高い静岡県三ヶ日(みつかび)町で養蜂業を営んでいる長坂養蜂場は、従業員が家族と同等の絆で結ばれる「大家族主義経営」のもと、多彩な商品ラインアップで人気を集めている。「当社ではともに働く仲間を『ぶんぶんファミリー』と呼び、互いの幸せと成長を願い合う社風が根づいています」と長坂善人社長は語る。

 創業は1935年。創業者である長坂喜平氏が、浜名湖の湖畔でミツバチの飼育を始めたのが同社のルーツだ。その後、巣箱とともに全国を転々としながら養蜂を行う「転地式養蜂」を長くなりわいとしていたが、68年に実店舗をオープンして以降は、蜂蜜を用いた加工食品の製造・販売にも着手。現在は、蜂蜜の生産から商品の企画・開発・製造・販売まで自社で一貫して行う「6次産業」のビジネスモデルのもと、多彩な商品を世に送り出している。
 看板商品は三ヶ日町の里山に咲く花から採蜜した天然蜂蜜。なかでも、ミカンの花から採れた「三ヶ日みかん蜂蜜」は、柑橘系のさわやかな香りとフルーティーな味が売りで、発売から1年を待たずして完売するほどの人気を集めている。
「浜松市は気候が温暖な地域で、特に三ヶ日町はミカンをはじめ、蜜源植物が多く生育するなど、蜂蜜の採取に適した条件が揃っています。当社は三ヶ日町内に養蜂場を10カ所設けており、そこで採れた新鮮な蜂蜜を使って、バラエティー豊かな商品を製造・販売しています」
 こう話すのは、同社を率いる長坂善人社長。2013年に、先代の長坂光男氏から経営のバトンを受け継いだ3代目だ。

店舗と公式キャラクター「ぶんぶん」

店舗と公式キャラクター「ぶんぶん」

多彩な商品構成と働きがいの向上で地域をけん引する優良企業に

長坂善人社長

株式会社長坂養蜂場
創 業 1935年
所在地 静岡県浜松市浜名区三ヶ日町下尾奈97-1
売上高 約11億円
従業員数 約80名
利用システム FX2クラウド

観光客も頻繁に来店

店内にはバラエティー豊かな蜂蜜製品がずらりと並ぶ

店内にはバラエティー豊かな蜂蜜製品がずらりと並ぶ

「三ヶ日みかん蜂蜜」は1年で10日間だけ咲くミカンの花から採蜜した人気商品

「三ヶ日みかん蜂蜜」は1年で10日間だけ咲くミカンの花から採蜜した人気商品

 現在、同社ではおよそ150種類以上にのぼる商品を扱っている。蜂蜜そのものはもちろん、スイーツやドリンク、化粧品など、事業を展開するなかで商品の間口を広げていった。
「蜂蜜を練りこんだクリームに、さらに蜂蜜をかける〝追い蜂蜜〟が売りの『はちみつソフトクリーム』も人気で、多い日で1日2000本以上売れるときもあります」
 そう長坂社長が説明するように、浜名湖の湖畔に構える店舗には、毎日のように多くの買い物客が訪れている。1日あたりの購入客数は平日で400~500人。土・日・祝日はなんと800~1200人にのぼる。平均客単価は3000~4000円で、地元の住民はもちろん、遠方からの観光客も足を運ぶなど、同社の店舗は三ヶ日町内でも有数の人気スポットとなっている。
「家族連れのお客さまが多く、店舗は巷のコンビニと変わらないぐらいの広さですが、多くのお客さまでにぎわっています」(長坂社長)
 商品の味や品質はもちろん、蜂蜜特有の健康効果や、自宅用やギフト用など多様なニーズをカバーする商品構成が多くのお客を引きつけているようで、「長坂養蜂場さんの商品にはハズレがない」「仲の良い人に自信を持ってプレゼントできる」など、購入者からは商品を高く評価するコメントが多く寄せられているという。
「私自身、料理の味付けの際、蜂蜜を砂糖やみりんなどの調味料代わりとして用いるといったように、蜂蜜を普段づかいする環境で育ちました。ただ、一般的には料理の隠し味として用いたり、パンやホットケーキに塗るなど、限られた用途で使われることがほとんどです。当社が商品ラインアップの充実に積極的に取り組んでいるのには、『蜂蜜のおいしさや可能性を多くの人に知ってもらいたい』という思いがあるのです」と、長坂社長は力を込めて説明する。

従業員満足度の重要性を痛感

 同社では2000年代中盤以降、商品構成の拡充に力を入れており、来店客数が増加傾向にあった。同時期に通販事業を強化していたこともあり、売上高も堅調なペースで伸びていった。
 その一方で、課題にも直面した。接客対応や新商品の開発など、従業員の業務量も増加の一途をたどったのだ。
 長坂社長は言う。
「複数の新しい取り組みを同時進行かつ、トップダウンで進めていたのです。当時は10人規模の会社でしたが、事業の成長スピードに従業員が追いつけていなかった。結果、社内の雰囲気も重くなっていき、次第に『このままではいけない』と危機感を覚えるようになりました」
 いかにして社内の雰囲気を変えていくべきか……と悩む長坂社長は、ひょんなことから元法政大学大学院教授で、「人を大切にする経営学会」の発起人である坂本光司氏の講演会に参加することになる。この講演をきっかけに、長坂社長は従業員満足度の向上がいかに重要であるかを認識したという。
「会社がもっとも大切にすべきは『従業員とその家族』であることを痛感するとともに、顧客満足度の向上を目指すあまり、従業員に無茶を強いていたと反省しました」
 講演会で考えが改まった長坂社長は、「誰のために、何のために経営をするのか」を初めて立ち止まって考えたという。

「従業員は家族同然」

 まず取り組んだのは経営理念の再構築だ。長坂社長は両親へのインタビューを通して、創業者である喜平氏の生きざまを追究。喜平氏が大切にしていた「感謝・報恩・三方よし」の心を「創業の精神」として、会社経営のよりどころとした。加えて、「ぬくもりある会社をつくりましょう」という新たな経営理念を策定。「思いやりの気持ちや気づかいの心から生まれる〝ぬくもり〟が社内にあふれ、顧客、取引先、地域社会に波紋していくこと」を会社の使命に掲げた。
 こうして、理念を再構築した長坂社長だが、「仏作って魂入れず」では意味がない。長坂社長は朝礼や経営方針発表会など、普段の業務や社内イベント等を通じて理念の浸透を図った。加えて、新商品の企画や職場環境の改善に向けたアイデアを募るなど、従業員の自主性を発揮できる機会を積極的に設けた。
 これらの取り組みを積み重ねた結果、社内の雰囲気は徐々に明るさを取り戻していったという。ここ数年は新卒採用にも着手しており、コロナ禍以降は毎年5人前後の新卒社員を採用。従業員数はこの10年間で8倍近くに増加した。
「当社では入社後に価値観のギャップが生じないよう、雇用形態にかかわらず、理念やビジョン、ミッションに共感してくれる人材を時間をかけて採用しています」(長坂社長)
 ミツバチは女王バチと働きバチがともに冬眠せず、身を寄せ合いながら越冬する。これは他のハチには見られない、ミツバチ特有の習性だという。従業員が家族のような絆で結ばれる「大家族主義経営」は、互いに身を寄せながら厳しい生存競争を勝ち抜くミツバチの生態を彷彿とさせる。

経営方針発表会では経営理念の実践や職場環境の改善など、数値化できない従業員の頑張りを表彰している

経営方針発表会では経営理念の実践や職場環境の改善など、数値化できない従業員の頑張りを表彰している

長坂社長がサンタクロースにふんし、従業員の自宅を訪ねる「ぶんぶんサンタプロジェクト」も好評

コンサルタントの眼

長坂社長を中央に、右が山尾秀則顧問税理士、左が小園巧也巡回監査士

コンサルタントの眼

税理士法人坂本&パートナー
静岡県浜松市中央区高丘西2-9-27
所長・執行役員 山尾秀則
巡回監査士 小園巧也

クラウド化による意思決定のスピードアップに期待

 長坂養蜂場さんとは2017年に金融機関の紹介を通じて知り合い、顧問契約を結びました。地域資源を生かした商品を製造・販売し、地元の優秀な人材を積極的に採用するなど、地域社会への貢献意識の高さが印象的な会社です。
 長坂社長は業績管理に対する意識が高く、売上高や限界利益(率)など、科目や指標の推移をこまめにチェックし、経営判断に生かされています。具体的には、商品価格の改定や会員向けダイレクトメールのリニューアルなどを通して目下のコスト高に対処し、サービスエリアや駅の売店といった卸売り用の新商品を開発して卸事業の利益率を改善しながら、毎期黒字を継続されています。最近は自社の製造工場が完成し、商品の一貫生産体制をより盤石なものにされました。
 当事務所では毎月10日ごろに長坂養蜂場さんを訪問し、月次巡回監査を実施しています。午前中は各種証憑(しょうひょう)書と仕訳を突合した後、経理担当である長坂聡子さんに前月の取引状況について話をうかがっています。その後、長坂社長に業績を報告。社長が描いておられる経営構想についてヒアリングし、それを実現するための助言を税務・会計の見地から行っています。
 経理業務においては、聡子さんが『FX2』で日々の取引を入力しておられましたが、今年の4月に『FX2クラウド』に移行されました。これにより、長坂社長のパソコンからでも最新業績を閲覧できるようになり、経営判断のスピードがより一層向上していくものと期待しています。