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2021年4月

「給与?経費精算?在宅勤務に係る費用負担」Vol.762 2021年4月6日発行

●在宅勤務にまつわる費用はどうなる?

 会社が支給してくれる在宅勤務等に係る費用について、従業員の皆さんや経理担当の方の中には「これは経費になるの? それとも給与扱い?」と疑問を持った方もおられるのではないでしょうか。

●課税当局からの説明

 国税庁は今年1月に「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」というまとめを出しています。「在宅勤務手当」を従業員に支給した場合は「給与として課税する」ことになります。在宅勤務手当とは、在宅勤務を行う社員に一律に金額を支給するものなどです。また、在宅勤務に係る事務用品等を支給する場合でも、これは現物支給の給与扱いとなりますので、課税となります。

 一方、「貸与」として事務用品等を社員に貸し出した場合は、給与扱いとはなりません。その事務用品を使ってもらうために、仮払いでお金を出した場合でも、領収書で精算をする場合でも、どちらでも給与課税とはなりません。また、企業が従業員に専ら業務に使用する目的で「支給」したとしても、業務に使用しなくなったとき返却してもらう場合には「貸与」とみて差し支えないとのことです。

●通信費や電気料金は按分計算が必要

 通信費や電気料金についても、業務に利用した部分を合理的に計算した金額を支給している場合に関しては給与として課税する必要はありません。ただし、一定の金額を「通信費等で必要だろう」と渡し切りにしている場合、実際に業務のために使用した額を超えている部分については、給与として課税する必要があると説明しています。 業務のためのスペースが自宅になく、レンタルオフィス等を従業員に借りてもらった費用を会社が出している分については、給与として課税する必要はありません。


「消費税総額表示義務 総額表示にしなくても良い例」Vol.765 2021年4月27日発行

●総額表示義務の再開で困ったのは?

 令和3年4月1日から、消費税の総額表示義務の特例が失効した関係で、今まで可能だった「●●円(税抜)」といった表記が、消費者向けにはできなくなりました。この変更で大変だったのは、オンラインストアやチラシ・小冊子などを作っているデザイナーさんたちではないでしょうか。仕様変更を余儀なくされ、価格表示の長さに涙を流した方も居るかもしれません。

●総額表示しなくて良い例

 消費税総額表示義務は「不特定かつ多数の消費者に対する値札や広告などにおいて、あらかじめ価格を表示する場合」が対象となります。財務省は「総額表示に関する主な質問」というページで、総額表示に関しての質問と回答を掲載しています。それによると、見積書や請求書等は「不特定かつ多数の者」に対するものではないため、総額表示義務の対象ではありません。

 ただし、webサイトなどで不特定かつ多数の者にあらかじめ価格を表示する「見積り例」などは、総額表示義務の対象となりますので注意が必要です。また、総額表示義務は「消費者」に対してのものですから、事業者間の取引については、総額表示義務の対象にはなりません。

 例えば、製造業者や卸売業者が、小売店や業務用ユーザー向けに作成した商品カタログは、対象が事業者に向けられたものであり「消費者」向けではないため、総額表示義務の対象になりません。

●事業者向けか消費者向けか微妙な場合

 このように「対消費者向け」でない場合は、総額表示はしなくても良いのですが、中には「事業者向けか消費者向けか微妙」といったケースもあると思います。財務省はそういった場合、サービスの性質によって「不特定かつ多数の者」が利用するか否かで判断する、としていますが「総額表示が必要でなくてもやってほしい」とも呼び掛けています。

 総額表示については、違反した場合の罰則は今のところ定められていません。そもそも、総額表示義務は消費者の利便性への配慮ですから、事業者間の価格表示であったとしても、総額表示に統一しておく方が相手先に好印象を与えるのではないでしょうか。


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